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高齢者の高血圧の治療

高齢者の高血圧の治療は、軽度高血圧であっても治療を開始するほうが予後がよいとされ、WHO/ISH指針でも140/90mmHg未満まで血圧を下げるべきであるとされています。その根拠は、年齢に関係なく収縮期血圧115mmHg/拡張期血圧75mmHg以上になると血圧上昇とともに心血管病の危険性が増加するとの大規模調査の結果によります。かといって一般成人と同様に高齢者の治療に当たるのは適当ではないため、高齢者を前期高齢者(65歳以上)・後期高齢者(75歳以上)・超高齢者(85歳以上)に年代別に分類して降圧目標を定めています。高齢者の高血圧の治療には若い人の高血圧とはいくつか異なる注意が必要です。一般的に、加齢に伴い血圧が上がる傾向にありますし、高齢者の高血圧の特徴として、動脈硬化の進行による収縮期高血圧(最高血圧が高く最低血圧はむしろ低めで、脈圧=最高血圧と最低血圧との差が大きい)が多く、血圧が変動しやすいことです。降圧するにあたっては、急激に血圧を下げると眩暈(めまい)や立ちくらみなどを起こしやすいため注意が必要です。
高齢者の治療は生活習慣の修正と薬物療法からなります。高血圧の薬物療法では、しっかり血圧を下げるけれども急激には下げない降圧薬で、しかも血管拡張型で臓器循環をよくする薬が望ましく、カルシウム拮抗薬や利尿薬が適しているといわれています。また、生活習慣の変更が必要な高血圧の治療ですが、長年の生活習慣を修正するのも簡単ではありません。QOL(生活の質)も考慮して、どこまで血圧を下げて、どのような治療をして、どのような生活をするのかなど総合的に考えた治療計画をたてるためには、医師と十分に相談することが重要になります。
■高齢者の降圧目標
○前期高齢者:140/90mmHg未満
○後期高齢者:軽症高血圧は140/90mmHg未満、中等症高血圧と重症高血圧は140/90mmHg未満が最終降圧目標ですが、150/90mmHg未満を暫定目標にして慎重な降圧がなされます。
○超高齢者:降圧薬治療が心血管疾患発症抑制に効果があるものの、最終的死亡率の抑制は未だ確認されていません。

女性の高血圧の治療

女性の高血圧が問題になるのは更年期以降と妊娠中といえます。女性ホルモンが血管の収縮や老化を防いだり、水分やナトリウム排泄を促がします。その女性ホルモンが減少したりバランスが崩れる更年期以降や妊娠中に高血圧の問題が現われてくるというわけです。経口避妊薬(ピル)を服用している場合も血圧は高くなる傾向があります。
■女性の高血圧の治療:妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
妊娠中毒症と呼ばれてきた病態の本体は高血圧であることから、妊娠高血圧症候群と改められています。妊娠中はホルモンバランスが変わりやすく肥満になりやすいため、血圧が上がりやすい状態です。WHOガイドラインによると、140/90mmHg以上、または妊娠前または妊娠初期と比較して最低血圧が+25mmHg以上か最低血圧が+15mmHg以上を妊娠性高血圧としています。
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の治療は、減塩や適度な食事量で高血圧の治療になりますが、妊娠中の高血圧が進むと降圧薬を使用することになります。使用可能な降圧薬も限られますし、使用も慎重でなければなりません。重度の妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)になると入院することになります。肥満予防が妊娠中の高血圧予防になります。妊娠中の最終的な体重増加は、標準体重の人は8kg以内、多くて10kg以内に抑えて太り過ぎないようにします。腎臓疾患をもつ妊婦は高血圧になりやすい傾向があります。その場合は、高血圧だけでなく浮腫み(むくみ)やタンパク尿も同時に見られます。
■女性の高血圧の治療:更年期以降
更年期以降は女性ホルモンが激減しますから、男性と同様に高血圧に注意しなけれななりません。

高血圧の予防の基本は食事

高血圧の治療の基本は食事ですが、高血圧の予防の基本になるのも食事です。高血圧の予防には食事療法が最も効果的とされています。高血圧の予防に限らず、カロリーを考えて栄養の過不足のない食事を規則正しく摂ることを続けることが健康維持の秘訣です。高血圧の症状はほとんどありませんから、日頃の生活の中で根気良く続けるといっても、食事で高血圧を予防しようと無理をすると長続きしません。「これさえ飲めば、これさえ食べれば高血圧にならない」というものもありません。血圧を上げる要因が食生活にないか見直して改善することが大切です。高血圧に良い食材といわれるものを徐々に取り入れて健康な食生活になる工夫しながら高血圧予防をしましょう。食事療法を始めて途中で挫折しても、諦めずに、また始めましょう。一度に食事の全てを変えようとせず、徐々にまたは一つずつ変えていきましょう。また、症状に乏しい高血圧を早期に発見するには、自宅で家庭血圧を測るのも良いです。定期健診は必須です。もし「高血圧かも」と疑わしいことがあるなら、医師に相談しましょう。
■高血圧に良い食べ方:四少四多を心掛けましょう。
毎日そして毎食の食品のバランスや、食べ方に気をつけることが効果的な高血圧の予防に繋がります。
○少糖多果:砂糖は少なく果物を多く
○少塩多酢:塩分は控えめに酢を多く
○少葷多素:肉を少なく野菜は多く
○少食多餐:小食で回数を多めに

高血圧に良いDASH食とは

DASH食とはアメリカで考案された高血圧の治療食で、アメリカで高血圧改善に成果を上げている高血圧の食治療法です。DASH食の特徴は、野菜や果物・木の実・豆・魚・全粒粉のパンなどを多く摂って牛肉や豚肉・甘い菓子やソフトドリンクを控えることで、飽和脂肪酸・総脂肪・コレステロールが低く、カリウム・カルシウム・マグネシウム・食物繊維・たんぱく質を多く摂取できるようになっている食事療法です。つまり高脂肪・高カロリーな欧米の食事を低脂肪・低カロリーな食事にする食事療法です。この食事療法には塩分制限は含まれていませんが、塩分制限を加えると更に血圧を下げる効果があるとされています。
アメリカの食生活と日本の食生活には違いがありますから、一概にDASH食が日本人の高血圧の食事療法になりうるかどうかは疑問が残ります。米を主食にして野菜・豆類・魚介類・海草などを食べる日本の伝統的な食事はDASH食に似ているようです。確かに、現代人の栄養素摂取量を比較すると、炭水化物・脂質・タンパク質の摂取割合はDASH食に近いです。一方で、DASH食よりもカリウム・マグネシウム・カルシウムが少なく、ナトリウムが多いです。また、DASH食で注意すべき点は、DASH食は高血圧以外に病気がないことが前提になっています。腎障害、肝障害、その他の合併症などがある場合は、DASH食が逆に有害となることもありますから、高血圧の合併症があるならば医師に相談することをお勧めします。

※DASH: 「Dietary Approaches to Stop Hypertension」の略。

高血圧症の食事のポイント

高血圧症の食事療法のポイントは、減塩・肥満の解消・栄養バランスです。高血圧症を改善するということは、血圧を正常血圧に近づけ、そして血圧を安定させることです。そのためには減塩を中心にした高血圧症の食事療法が重要です。肥満を伴う高血圧症の人が増えていることも問題になっています。肥満は高血圧だけでなく糖尿病や高脂血症(脂質異常症)などの生活習慣病の罹患頻度も高くなりますから、適正な食事量でカロリー制限をすることで肥満解消をしましょう。栄養バランスも大切です。栄養バランスが悪い食事は効果的な食事療法とはなりません。高血圧の食事では、塩分制限だけでなく、食事量と栄養バランスに注意して、高血圧に良い食材を積極的に献立に取り入れましょう。病院で高血圧の治療を受けている場合は、医師の指導に従うことが大切です。降圧薬の効果を下げる食品がありますし、高血圧以外の病気を合併している場合は、高血圧の予防や改善には良い栄養素であっても高血圧の合併症には悪い栄養素だったりすることがありますから、注意が必要です。
■高血圧症の食事療法のポイント:塩分制限
高血圧症の程度によって塩分制限の量が異なります。食塩摂取量が1g減ると血圧は1mmHg下るといわれています。毎日の食事療法で減塩を実行して血圧をコントロールします。
■高血圧の食事のポイント:タンパク質
魚・肉・卵・大豆製品・乳製品のタンパク質を偏りなく、動物性と植物性をとりまぜて摂ります。
■高血圧の食事のポイント:脂肪
脂質は多すぎても少なすぎてもいけません。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)や飽和脂肪酸を多く含む食品を避けて、不飽和脂肪酸を多く含む食品を摂ります。動物性食品 (魚を除く)の脂肪と植物性食品の脂肪の比率は、1:1~1:2の範囲が好ましいです。
■高血圧の食事のポイント:糖質(炭水化物)
脂肪と同じく、糖質(炭水化物)の摂りすぎにも注意が必要です。糖質(炭水化物)は総エネルギーの55%~60%程度が理想です。
■高血圧の食事のポイント:ミネラル
血圧を上げるナトリウムに対して、カリウムやマグネシウムなどのミネラルは血圧を下げる作用があります。

血圧を下げる減塩の目安

高血圧の予防や改善に特に重要となるのが減塩を中心とした食事療法です。高血圧予防として減塩するならば、2~3ヶ月で「1日6g」未満の塩分摂取量を抑えることを目標に、食習慣の中でできる範囲内で食塩量の多い食品を減らすなどして減塩を心掛けることで徐々に薄味に慣れていきましょう。家庭の献立に使う食材や、外食・間食の食べ方を工夫したりして減塩していきましょう。減塩だけでなく栄養バランスを考えた食事にすることもお忘れなく。
■血圧を下げる食塩制限の目安:
○軽度の高血圧:1日8~10g
○中度の高血圧:1日6~8g
○重度の高血圧:医師の指示に従います。
■高血圧に良い食品選びの目安:
◎多めに食べます、○普通に食べます、△できるだけ控えます。×控えます。
主食:○ご飯 △パン ×メン
主菜:◎魚・貝・大豆・大豆製品 ○肉・卵
副菜:◎緑黄色野菜・海藻・キノコ・こんにゃく・果物・牛乳・乳製品 ○いも・かぼちゃなど他の野菜
調味料:◎酢・植物油 ○香辛料 △塩・しょうゆ・みそ ×砂糖
嗜好品:△アルコール ×菓子・カフェイン・炭酸飲料

高血圧の食事と調味料

調味料の塩分量は以外に多いものです。特に日本の食事の塩分量を多くしているのが醤油・味噌などの調味料を代表格に、干物や漬物があります。化学調味料にも注意が必要です。高血圧の食事療法は塩分制限が中心です。高血圧であっても、食塩に対する感受性が強い人とそうでもない人がいることは分かっていますが、過剰な塩分は他病気の要因になり健康を害しますから、日頃の食生活での塩分量は減らすように心掛けることが望まれます。
■高血圧なら食事に使う調味料(醤油)にも注意:醤油の種類で違う塩分量
濃い口醤油とたまり醤油の塩分は15%です。薄口醤油は色が薄く香りや味が淡白ですが塩分は16.3%と高いです。薄口醤油を調理に使うと、色や味が付かず使いすぎてしまいますから注意が必要です。減塩醤油の塩分は8.4%で、濃い口醤油の約半分の塩分量です。
■高血圧なら食事に使う調味料(塩)にも注意:精製塩と天然塩の違い
精製塩は天日塩を溶かした塩水を再製加工した塩で、99.5%以上が塩化ナトリウムです。品質が安定しているものの、塩化ナトリウム以外の栄養素は極めて微量の塩です。天然塩は昔ながらの塩田で作られる塩で、生産地によって品質にバラツキがあります。栄養素という点から見ると、天然塩のほうが精製塩よりも血圧を下げる作用のあるカリウム・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルが豊富です。天然塩のほうが精製塩よりも栄養素的にはバランスがとれているといえますが、高血圧で問題になるのはナトリウムですから、天然塩だからといって安心はできません。
■高血圧なら食事に使う調味料(化学調味料)にも注意:化学調味料やだしの素が高血圧の原因に
化学調味料やだしの素はグルタミン酸ナトリウム・イノシン酸ナトリウムなどの化合物からできています。化学調味料やだしの素は便利ですが、気づかぬうちにナトリウムを摂取していることになりますから、化学調味料を使うときには食塩を控えめにしましょう。
■食塩1gに相当する調味料の量
○濃い口醤油7g:小さじ1杯強
○減塩醤油20g:大さじ1杯強
○甘口味噌16g:大さじ1杯弱
○淡色辛味噌8g:小さじ1.3杯
○トマトケチャップ30g:大さじ2杯
○ウスターソース12g:小さじ2杯
○トンカツソース18g:大さじ1杯
○フレンチドレッシング33g;大さじ2杯強
○マヨネーズ(全卵型)56g:大さじ4杯1/2

高血圧の減塩のコツ

高血圧は塩分を抑える塩分制限(減塩)中心の食生活が基本です。高血圧の予防や改善をしようとしてまず行うのが食事療法ですが、無理をして塩分を抑えることで味気ない食事になってしまい挫折してしまうことも少なくないようです。減塩しても美味しく食べるコツがあります。料理の方法、献立のたてかた、食品・食材の選び方・食べ方を工夫して高血圧に良い美味しくて塩分が少ない食事にしましょう。1人で減塩は難しいもの家族全員で減塩しましょう。
■減塩して美味しく食べるコツ:塩分が少なくても良い料理・献立の方法、食品・食材選び
塩や醤油などの塩分の多い調味料が少なくてもよかったり、塩味が薄くても美味しく食べられる料理や献立があります。
○食品・素材の持ち味を生かした料理にします。(旬の食べ物・食材を使うなど)
○焼き物などには、程よい焦げめで香ばしさをつけます。
○天然のだしのうま味を使います。(昆布・かつお節・椎茸など)(市販のだしの素は使わず、手作りで)
○香味野菜を使います。(シソ・生姜・三つ葉など)
○酸味のある食品や酢を使います。(ゆず・レモン・スダチ・ダイダイ・カボスなど)
○和え物には香ばしさのあるもので和えます。(ゴマ・クルミ・ピーナッツなど)
○香辛料をを効かせます。(カレー粉・胡椒・辛子・わさびなど)
○割醤油を使います。(醤油をだし汁で2倍ほどに薄めたもので、塩分量が1/2に。)
○ソース・ケチャップを上手く使います。(醤油の半分以下の塩分量)
○一品に塩味を重点的に使います。(全てが薄味では満足できない場合)

高血圧の外食の注意

高血圧を予防したり改善するには栄養バランスや減塩を基本にした食事対策が大切ですから、高血圧予防や改善には家庭での食事だけでなく外食料理にも注意が必要です。外で仕事をしていると、昼食は外食で済ませることも多くなります。外食の献立は野菜が少なく栄養のバランスも良いとはいえませんし、塩分が多く含まれている料理が多いことが高血圧の予防や改善の壁になっています。ですが、外食するにしてもできるだけ減塩を心掛けましょう。
■高血圧予防と外食の注意ポイント
○外食は1日1回までにして、家庭での食事で減塩のバランスをとります。
○外食はできるだけ塩分の少ない料理を選びます。
○ラーメンやそばなど麺類の汁は全部飲まずに残します。
○丼など栄養が偏るメニューを避けて、野菜の多い定食にして、味噌汁は半分残して、漬物はできれば食べないようにします。
○寿司・チャーハン・ピラフなど味の付いている主食は控えめにします。
○味付けされた料理には醤油などの調味料をかけないようにします。
○動物性脂肪が少ない食事を心掛けます。

高血圧を下げるカリウム

高血圧を下げる代表的な栄養素がカリウムです。カリウムは自然の降圧薬ともいえます。食品からのナトリウム摂取量が増してもカリウムを同時に多く摂取することで、血圧が上がるのを抑える効果がわかっています。カリウムの摂取量は食塩のおよそ1/3が目安です。高血圧予防にはカリウムを多く含む野菜や果物・豆類・いも類・海藻類・魚を上手く食事に取り入れることが望まれます。高血圧ならば減塩とともにカリウムを含む食品や食材を食事に取り入れることで、上手な食事療法・血圧管理をしましょう。ただし、腎臓疾患がある場合は高カリウム血症の危険がありますから、高血圧と腎臓病がある場合は医師の指示に従うことが重要になります。
■高血圧改善予防に効く食材:カリウムを多く含む食品
○野菜:アスパラガス、ブロッコリー、ほうれん草、トマト、春菊など
○果物:プルーン、干しあんず、バナナ、アボカド、メロン、りんごなど
○豆類:大豆、納豆、枝豆、きな粉など
○いも類:サトイモ、サツマイモ、ジャガイモなど
○海藻類:ひじきなど
○魚:まぐろ、さわらなど

高血圧を下げるミネラル

高血圧を下げる栄養素としてカリウムが代表的ですが、他ミネラルのカルシウムやマグネシウムにも血圧を下げる効果があるといわれます。高血圧予防には日本人に不足しがちなミネラルを毎日の食事でしっかりとりたいものです。カルシウムの摂取量が少ないほど高血圧発症の頻度が高くなることが知られています。カルシウムとナトリウムの両方が腎臓の尿細管にあると互いに再吸収を妨げて、ナトリウム排泄を促がす効果があります。ただ、カルシウムが細胞の中に過剰に取り込まれると血管を細くして高血圧になります。マグネシウムはカルシウムが細胞内に取り込まれるのを抑えて血圧が上昇するのを防ぎます。高血圧を予防するには不足がちなカルシウムやマグネシウムをバランスよく摂取することが大切です。カルシウムやマグネシウムの両方を含む牛乳を1日にコップ1杯~1杯半を飲むことをおすすめします。
■高血圧改善予防に効く食材:カルシウムを多く含む食品
カルシウムは牛乳や乳製品、小魚、大豆、緑黄色野菜などに多く含まれています。特に牛乳や乳製品が含むカルシウムは体内への吸収率が高いのでおすすめの食品です。
■高血圧改善予防に効く食材:マグネシウムを多く含む食品
マグネシウムは昆布・ひじきなどの海藻類、魚介類、アーモンドや落花生などのナッツ類に多く含まれています。リンはマグネシウムの吸収を阻害しますから、リンを多く含むカップ麺などのインスタント食品を食べる人はマグネシウム不足にならないよう注意が必要です。マグネシウムが腎臓に負担をかけることがありますから、高血圧と腎臓病がある場合は医師の指示に従うことが大切です。

高血圧を下げる食物繊維

食物繊維は塩分の吸収を抑えて高血圧を予防改善する働きがあります。水溶性食物繊維は腸内の老廃物や有害物質の吸収を妨げて便として排出させますから、高血圧の予防改善だけでなく、糖尿病や動脈硬化の予防にもなります。不溶性食物繊維は高血圧に悪影響を及ぼす便秘を予防改善します。高血圧の予防改善においては水溶性食物繊維の中でもアルギン酸(海藻類のぬめり成分)は顕著です。アルギン酸は食品中でカリウムなどのミネラルと結びついて存在し、胃中で胃酸の影響を受けてカリウムを放します。このカリウムは腸から吸収されて血液中のナトリウムをは追い出す働きをします。また、カリウムが離れたアルギン酸は小腸でナトリウムと結びついてともに排出されます。これらの作用は一種のイオン交換反応ですが、ナトリウムを排除することで血圧を下げます。
■高血圧改善予防に効く食材:食物繊維を多く含む食品
血圧の上昇を防ぐといわれる水溶性食物繊維には、アルギン酸(海藻類)、ペクチン(柿・リンゴなどの果物)、グルコマンナン(こんにゃく)、ムチン(山芋)などがあります。
○穀類:オートミール、小麦胚芽、玄米、そば
○芋類:こんにゃく、さつま芋、里芋、ジャガイモ
○豆類:大豆、小豆、インゲン豆、えんどう豆、そら豆、枝豆、納豆、おから、栗、落花生(ピーナッツ)、クルミ、ゴマ
○野菜類:アスパラ、うど、かぼちゃ、ごぼう、筍、パセリ、ブリッコリー、キャベツ、小松菜など殆どの野菜
○果物:バナナ、梨、イチゴ、りんご、グレープフルーツなど殆どの果物
○茸類:椎茸、エノキダケ、なめこ、キクラゲなど殆どの茸類
○海藻類:海苔、わかめ、ひじき、昆布、ところてん、寒天など殆どの海藻類

高血圧改善予防に旬の食材

四季折々の旬の食材食品で高血圧予防や高血圧の治療改善をしませんか?旬とは、魚介類や野菜など最も美味しい最盛期の時期のことです。旬の食材は栄養価が高く、農薬や人口飼料の使用量や回数が比較的少なく、たくさん出回る出盛りの時期のため安く買うことができて経済的です。野菜は、時期によって栄養素の含有量が変化します。旬の時期の野菜には栄養素が豊富です。魚は、時期によって脂肪の含油脂量に差があります。旬の時期の魚は脂がのって味がよくなります。旬の食べ物は四季の中で暮らす日本人の体に合っているといえます。春は山菜など苦い食べ物が春の陽気によるのぼせを防ぎ、夏は水分の多い野菜や果物が体の熱を取り、秋には脂肪の多い木の実や魚で寒い冬に備え、冬は根野菜が体を温めます。一年をとおして使える食材もあります。旬の食材を組み合わせてバラエティーに富む食事をして、高血圧の予防改善治療をしましょう。高血圧に良い食材は多いですから、好き嫌いのある人でも何かしら高血圧に良い食材が見つかるはずです。
■旬の食材・旬の食べ物で高血圧の予防改善:春の食材
○じゃがいも:ジャガイモはカリウムの王様といわれるほどカリウムを多く含みます。
○たけのこ:筍はカリウムや食物繊維を多く含みます。高血圧に効果があります。
○せり:セリはビタミンCや食物繊維を含み、香りのもと(精油成分)には血圧を下げる働きがあります。
■旬の食材・旬の食べ物で高血圧の予防改善:夏の食材
○ピーマン:ピーマンは毛細血管を丈夫にするビタミンPを含みます。
○トマト:トマトはカリウムを含みます。
○すいか:スイカは水分が多いだけでなく比較的カリウムを多く含みます。血圧低下作用があります。また利尿作用のあるシトルリンも含んでいて、高血圧に有効にはたらきます。
○モロヘイヤ:モロヘイヤは血圧上昇作用を抑えるカルシウムや血圧を下げる食物繊維を含みます。また、カロチンもニンジンの約1.4倍の緑黄色野菜です。
■旬の食材・旬の食べ物で高血圧の予防改善:秋の食材
○にんじん:ニンジンはカロチンが豊富で、カルシウムや食物繊維を含む優れた緑黄色野菜です。
○れんこん:蓮根は不溶性食物繊維が豊富です。
○まいたけ:舞茸は高血圧の予防改善に大切なカルシウムが体内で有効に働くために必要なビタミンを多く含んでいます。
○かき(柿):柿は血圧の上昇を防ぐカリウムを含み、柿のカキ渋タンニンには血圧を下げる効果があります。
○サンマ:秋刀魚はDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸を多く含み、高血圧の予防効果があります。
■旬の食材・旬の食べ物で高血圧の予防改善:春・夏・秋の食材
□春・夏の食材
・あしたば:あしたばは特にビタミンB2を多く含む優れた緑黄色野菜です。
・アスパラガス:アスパラガスの穂先にはルチンが含まれます。ルチンは血管を丈夫にして高血圧の予防効果があります。
・緑茶:緑茶のフラボノイドは血管の柔軟性を保ち、血圧を下げる効果もあります。
□春・秋の食材
・しいたけ:椎茸はエリタデニンや食物繊維を豊富に含み、血圧を下げ、高血圧の予防・改善に効果があります。
□春・秋・冬の食材
・たまねぎ:タマネギの血液凝固を遅らせる硫化アリルを含み、高血圧の予防に有効です。
□春・冬の食材
・ほうれんそう:ほうれん草はカロチンとビタミンCを豊富に含む緑黄色野菜です。
□秋・冬の食材
・カキ:牡蠣のタンパク質に含まれるタウリンは、血圧上昇を抑える働きがあります。
・春菊:春菊はカリウムを非常に多く含みカロチンも豊富です。

高血圧改善予防に効く食材

高血圧改善予防に効く食品食材としては、実際に血圧を下げる直接的な効果がある食べ物や、血管強化や血栓予防をすることなどで間接的に血圧を下げる効果がある食べ物は数多くあります。カリウムを多く含む緑黄色野菜や果物は血液中の塩分を排出する効果のある食べ物です。ルチンを含む蕎麦(そば)やケルセチンを含むタマネギ・納豆・ごま・魚介類・海藻類・はちみつなど高血圧に効く食品は多いです。旬の食べ物・食材と一年中使える食材を組み合わせて、高血圧に有効で豊かな食生活にしましょう。
■1年中使える食材で高血圧の予防改善:
○もやし:モヤシの豆と芽の部分は食物繊維が多く、カルシウムやカリウムも含まれ、他野菜に比してたんぱく質も多いですから高血圧に有効に働きます。
○ごま:ゴマ全体の半分以上が脂質で不飽和脂肪酸を多く含みます。リノール酸はストレスに対抗するホルモンの分泌を活発にしますし、高血圧に効果のある食物繊維も豊富です。
○あずき:小豆は食物繊維が非常に豊富で、皮に含まれるサポインは高血圧予防に効果的です。
○そば:蕎麦はたんぱく質が豊富で、ルチン(ビタミンPの一種)を含み毛細血管を丈夫にする働きがありますから、高血圧予防に効果的です。
○大豆:大豆はたんぱく質が豊富で、血管内の中性脂肪やコレステロールを洗い流すなどする働きのあるレシチンを含みますから、高血圧予防に効果的です。
○ワカメ:ワカメは血圧降下作用のあるカリウムを多く含み、ワカメ特有のぬめり(食物繊維のアルギン酸)は胃内でカリウムを放出したり小腸でナトリウムと結合して余分なナトリウムを排出するなどしますから、高血圧予防に効果的です。
○こんぶ:昆布は血圧降下作用のあるカリウムを多く含み、ラニンという血圧降下物質も含みますから、高血圧予防に効果的です。
○ひじき:ひじきはカルシウムやカリウムなどのミネラルを多く含み、食物繊維も豊富ですから、高血圧予防に効果的です。

高血圧とミネラルウォーター

ミネラルウォーターには意外とナトリウムの含有量が多いですから、高血圧の人は注意が必要です。ミネラルウォーターによってミネラル含有量が違いますから、ラベルを確認することをおすすめします。カルシウムやマグネシウムが豊富な硬水を飲むのも良いですが、基本的にはミネラルは食事から摂取するほうが良いと心得ましょう。また、水の飲み方にも注意しましょう。一度に大量の水を飲むのは避けます。小まめに水分を補給しましょう。冷えすぎていない水を、寝る前・寝起き・食事の前後・スポーツや入浴の後にコップ一杯(約150-180ml)をゆっくり飲むのが理想的といわれています。
水は硬度によって軟水と硬水に分けられます。日本の水道水の軟水を飲みなれていると硬水(ミネラルウォーター)は少し飲みづらいと感じるかもしれません。硬度が高いほどカルシウムを多く含むといわれていますが、カルシウム含有量が高いからといってマグネシウム・カリウム・ナトリウムなどの他ミネラルも多いとは限りません。水1リットル中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を硬度という数値で表します。飲料水としてのミネラルウォーターは、およそ100以下を軟水、100~300を中硬水、300以上を硬水と呼んでいるようです。WHOが定めている飲料水の水質基準では、60未満を軟水、~120未満を中軟水、~180未満を硬水、180以上を非常な硬水、となっています。

高血圧と飲酒

長期にわたる多量飲酒の習慣が高血圧の原因となることが分かっている一方で、適量の飲酒はむしろ健康を増進させるという研究結果も多くあります。お酒は百薬の長として食欲増進・血行促進・ストレス解消などが挙げられ、血管拡張作用がアルコールにあることから適量の飲酒で血圧は下がりますが、長期の習慣的な大量飲酒で血圧は上がっていきます。お酒の飲み過ぎは身体の害になりますがが、適度にお酒を飲むならば健康を増進させるということになります。ここで問題になるのが、「どのくらいが適量なのか」です。時々がぶ飲みするよりは、平均して毎日ちびちび飲む方が理想的のようですが、少なくとも1日のセイフティラインと考えられているお酒の量を超えないようにすることです。アルコールはカロリーが高い飲み物ですから、特に太り気味の人は注意してください。毎日の飲酒量が日本酒3合以上、ビール大瓶3本以上を超えるようなら慢性的な高血圧(アルコール性高血圧症)になるリスクが高くなりますから要注意です。
■1日当たりの適量のお酒の目安(種類:量/カロリー)
○ビール:大瓶一本(633ml)/240kcal
○日本酒:1合(180ml)/203kcal
○ウィスキー:シングル3杯(60ml)/139kcal
○ブランデー:グラス3杯(90ml)/220kcal
○焼酎:1合(25度・180ml)/254kcal
○ワイン:グラス2杯(240ml)/175kcal

家庭血圧測定の必要性

家庭血圧測定が必要な理由は、高血圧は症状がなくても危険な病気だからです。脳卒中・心筋梗塞・心不全・腎不全など生命予後に関わる心臓・腎臓・血管の障害(高血圧の合併症)がでて初めて高血圧の症状が出ることが多いのです。高血圧かどうか不明ですか?検診で測定した血圧は正常血圧範囲の数値だからと安心していませんか?検診で血圧が高いと言われたけれど医師の指導や治療を受けていないですか?高血圧で治療を受けていますか?「はい」と答えた全ての人に家庭血圧測定が必要といえます。高血圧かどうか不明な人の中に高血圧が潜んでいるかもしれません。検診では高血圧と診断される数値でない正常血圧値の範囲でも、仮面高血圧かもしれません。検診で血圧が高いと言われたけれど放置しているなら、白衣高血圧かもしれませんし、高血圧が進行し続けているかもしれません。高血圧で治療を受けているならば、適正に血圧コントロールがされているかを家庭血圧測定で確認でき、適正な治療を受けることを可能にします。
家庭血圧測定は健康管理に有効です。家庭用血圧計はそれほど高価ではありませんから、もし自宅にないならばちょっと考えてみてはいかがでしょう?家庭で測定した血圧を家庭血圧と呼びますが、家庭血圧が135/85mmHgを越えているならば高血圧を治療する必要性があります。病院で受診することをおすすめします。

家庭用血圧計の選び方

市販されている家庭用血圧計の種類には、上腕で血圧を測るタイプの血圧計・手首で血圧を測るタイプの血圧計・指で血圧を測るタイプの血圧計があります。日本高血圧学会の家庭血圧測定ガイドラインでは、家庭用血圧計は上腕にカフを巻いて血圧を測るタイプの血圧計が推奨されています。上腕で血圧を測るタイプの血圧計は誤差が少なく安定した数値が得られからで、医療機関で測定する血圧も上腕で測定します。手首で測るタイプや指で測るタイプの血圧計の場合は、測り方によって誤差が大きく現われるといわれています。例えば、手首で血圧を測るタイプの血圧計では、測定時に手首の位置が心臓の高さに固定されないと誤差が生じたり、手関節の屈曲度によって測定結果の数値が異なることがあるようです。上腕にカフを巻いて測るタイプの血圧計では、上腕部には上腕骨が一本だけなのでカフの圧が動脈に直接かかりやすいです。手首式血圧計では、手首の2本の骨の間に動脈があるために、締め付けが上手くいかずに動脈に十分な圧力がかかり難いために誤差が出やすいのです。ただ、手首式血圧計は腕まくりをしないで手軽に血圧測定ができますから、既に家庭用の上腕式血圧計を持っていて、手軽に手早く測定したい・外出先でも測定したい人には手首式血圧計も有効とも考えられます。尚、血圧計を実際に購入するときに、購入する実物をチェックすることが可能ならば、連続して3回計測した数値にバラツキがない血圧計を選んでください。

家庭血圧の正しい測り方

家庭用血圧計が普及し家庭血圧測定の意義も認識されてきましたが、正しい家庭血圧測定の方法でなければ、せっかく血圧を測っても正しい結果を得られません。日本高血圧学会の家庭血圧測定の指針(家庭血圧測定条件設定の指針)を参照することをおすすめします。家庭血圧を測る時間は?家庭血圧を測るときの姿勢は?血圧を測る前は安静を心掛けて毎日だいたい同じ時間に血圧を測ります。家庭血圧の測定方法や測定結果で疑問がある場合は、血圧計の説明書を読んだり医師に相談したりと何かしらのアクションを起こしてください。
■家庭血圧の正しい測り方:血圧を測定する部位
上腕で測定する血圧計が推奨されています。
■家庭血圧の正しい測り方:家庭血圧を測る時間
朝晩、原則として1回づつ測定します。
○朝の家庭血圧の測り方:起床後1時間以内の排尿後・服薬前・朝食前の安静時、座位1~2分後に測ります。
○晩の家庭血圧の測り方:就床前の安静時、座位1~2分後に測ります。
■家庭血圧の正しい測り方:家庭血圧を測るときの姿勢
いつも同じ姿勢・同じ腕で測ります。
■家庭血圧の正しい測り方:血圧測定結果の評価
朝夜のある期間の平均値と標準偏差で評価します。家庭血圧測定の結果が125/75 mmHg未満ならば正常血圧ですが、135/85 mmHg以上ならば治療対象になります。
■家庭血圧の正しい測り方:血圧測定の記録
測定した全ての値を記録します。
■家庭血圧の正しい測り方:症状があるとき
頭痛・肩こり・めまい・ふらつき・のぼせなどの症状がある時も血圧を測ります。血圧に関係がある症状かもしれません。

家庭血圧測定の注意点

家庭血圧測定の注意点があります。先ず、毎回の血圧値に一喜一憂したり気にしすぎないことです。高い値であっても強い症状(強い頭痛や手足のしびれ・フラツキなど)がなければ心配ありません。寝不足・体調不良・ストレスなどで血圧は上昇しやすく、正常な血圧基準範囲内の人でも運動・食事・気温・精神的興奮などで一時的に血圧が高くなることはありますが、これを高血圧症とはいいません。正常基準値を超えた血圧値が慢性的に続いているかどうかが問題なのです。家庭で正確に血圧測定するための注意点はおよそ次のとおりです。
■家庭血圧測定時の注意点:血圧を測る前の注意や避けたいことがあります。
○運動後の測定は2時間以上時間をあけます。
○入浴やシャワー直後の測定は避けます。
○血圧測定をする2時間以内(少なくとも30分)の喫煙・カフェインを含む飲み物や量の多い食事は避けます。
■家庭血圧測定時の注意点:安静な状態で血圧を測ります。
過度のストレスを感じている状態の血圧測定は避けます。椅子に5分間(少なくとも1~2分)静かに座した後に血圧測定を開始します。血圧測定中は会話をしたり動いたり血圧計に触ったりせずに、自然な呼吸を心掛けます。
■家庭血圧測定時の注意点:毎日同じ時刻に血圧を測ります。
1日の内で血圧は上がったり下がったり変動していますから、毎日同じ時刻に血圧を測ります。
■家庭血圧測定時の注意点:望ましい血圧計選びと操作。
○上腕部で測定する血圧計が推奨されています。
○血圧計の説明書を読むか医師に使用方法の指導を受けるなどして、正しい血圧計の使用方法を身につけます。
○測定結果を記録します。特別に血圧が上昇した場合は思い当たる原因もメモしておいきます。主治医がいる場合は定期的に記録をみてもらいます。

※家庭血圧測定で白衣高血圧・仮面高血圧・早朝高血圧・夜間血圧など血圧の変動の情報を得ることができますし、高血圧の治療である薬物療法(降圧薬による治療)で適切な血圧コントロールを可能にします。また、1日数回測定して日内変動のリズムをつかむのも意義があることですし、外来血圧(病院での血圧)と家庭血圧との比較もできます。このように、家庭血圧は高血圧と診断されていない人でも自分の血圧が正常値かどうか確認する意味で健康管理に役立ちます。正常な血圧の基準値ギリギリならば尚更です。